【哺乳類】この世の奇跡!カヤネズミについて

こんにちは!昨日は家に帰ってからずっとカヤネズミのことを考えていました。あのかわいいお顔、ふかふかな被毛…。

カヤネズミ:草原に生きる世界最小級のネズミ、まるで「風のささやき」

基本情報:日本の草原にひそむ、ふわふわサイズの小動物

項目内容
学名Micromys minutus
英名Eurasian Harvest Mouse
分類哺乳類・ネズミ目・ネズミ科・カヤネズミ属
生息地本州・四国・九州/ユーラシア大陸にも分布
体長約5~7cm(尾は同程度の長さ)
体重約5〜10g(ティーバッグ1個分くらい!)
生息環境草原・河川敷・水田のあぜ道・ススキ野など
好きな場所カヤ・ススキ・イネ科植物の茎の間
主な食べ物穀類、草の種、昆虫、小型の節足動物など

小さな体に秘めた知恵と器用さ

カヤネズミは、その小さな体と引き換えに、実に器用で賢い生活を送っています。
彼らの得意技はなんといっても“草の上の家づくり”。
草丈の高い植物の茎を何本も曲げて編み込み、空中に球形の巣を作るのです。
この巣は直径7〜10cmほどで、まるで草の繭玉。中にはふかふかのベッドが整えられており、産室や休憩所として使われます。
まるで童話のよう…。なんというメルヘェン…。


巣づくりは基本的にメスが主導し、春から秋にかけて数回繁殖。
1回に3〜8匹ほどの子どもを産みます。
子育て中の母ネズミは、茎の間をぴょんぴょんと器用に移動しながら、食べ物を運んだり巣の手入れをしたりと大忙し。

草を渡る!尾と手足でバランスとる空中アクロバット

カヤネズミの最大の特徴は、その生活が「地面」ではなく「草の上」にあるということ。
木登りではなく「草登り」が得意な哺乳類という点で、かなりユニークな存在です。

足指は細く長く、しっかりと茎をつかむ構造になっており、尻尾はしなやかで巻き付きやすく、バランス感覚を補助。
ススキや稲の茎と茎のあいだをまるで綱渡りのように移動する姿は、見ていて感動ものです。
コラなのかと思うくらいかわいいな…

世界的にも珍しい「空中生活型ネズミ」

実はこのような「高茎草原で空中生活をするネズミ」は、世界的に見ても非常に稀です。
カヤネズミはユーラシア全体に広く分布しますが、日本ではカヤネズミが唯一の「純・草原性ネズミ」とされています。ほかの野ネズミ(ハタネズミ、アカネズミなど)が林床や土の中に巣を作るのに対して、カヤネズミは地面に降りずに生活するスタイルを持ちます。

この特異な生態のため、生息できる環境がかなり限定されてしまうのが現実。
特に、草刈りや土地開発によって草地が失われると、すぐに姿を消してしまいます。

トリビア&豆知識:こんなに小さくても…

  • その小ささは「日本最小級」。硬貨よりも軽い。
  • 巣の中で昼寝している姿は「草団子に顔」状態。
  • 草地とともに生きているので「環境指標種」として注目されている。
  • 一見ただの枯草のかたまりに見える巣が、実は高機能な住居。
  • 声はとても小さく「チッ チッ」と高音で鳴く。聴き取れる人は少数派。
  • 天敵はヘビや猛禽類、イタチなど。巣ごと襲われることも。

カヤネズミと人間の関わり:絶滅危惧の足音

カヤネズミはその小さな体で、大きな環境問題を背負っています。
なぜなら、「生息地=草地」が急速に減っているから。
都市開発、農地の管理方法の変化、除草剤の使用などが、彼らの暮らしを脅かしています。

2000年代以降、NPOや研究者たちの努力で、人工巣の設置や草地の保全活動も行われるようになり、環境教育の一環として注目されています。

また、カヤネズミの存在をきっかけに「草原の生きものたち」へ関心が広がることも多く、昆虫や小鳥など、地域全体の生態系を見直すきっかけになっています。

まとめ:草に棲む小さな命に、大きな物語

カヤネズミは、風にゆれる草の上にそっと暮らす、まさに自然界の詩人のような存在です。見つけるのは難しいけれど、その姿を知ることで、私たちは「草原の大切さ」「静かな命の営み」について再び考えることができます。

昔稲刈りをするとよくカヤネズミがたくさん飛び出してきたものです…。
大体猫に連れていかれてしまいましたが…。
保護したかったのですが相手は野生動物、基本的に捕獲や飼育が禁止されています。

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