【哺乳類】侵略者/キョンについて

※画像はキョン画像どうぶつ図鑑 – 背景資料写真家かさこ公式サイト様より

こんにちは。
たまに遊びに行くスポットにキョンがいます。
小鹿みたいなかわいいやつなのですが、現地に住み方々はあの手この手でキョンと戦っているわけです。

🐾 キョンの生態とトリビア 🐾

―― 小型でも侮れない、“茶色の忍者シカ”が日本の里山で暗躍中

キョンの基本情報

和名：キョン（学名：Muntiacus reevesi）
分類：哺乳綱偶蹄目シカ科ホエジカ属
英名：Reeves’s muntjac（リーブスミュンタグ）
原産地：中国南部・台湾
体長・体高・体重：頭胴長70–100 cm、体高40–48 cm程度（中型犬サイズ）、体重10–17 kg
角・牙：オスは角（最大15cm）と発達した犬歯（牙）を持ち、メスには角なし
体色：背面は茶褐色、腹面は黄色〜クリーム、目の上から頭頂には特徴的な黒線あり
活動時間：日中も見られる半夜行性。警戒時には犬のような奇妙な声を出すことも

💡「小型犬くらいのサイズ感だけど、角と牙でしっかりシカしています」

日本での侵入経緯と分布

導入ルート：1960〜80年代に動物園や観光施設（千葉・勝浦、伊豆大島）から逃走・放逐され、野生化しました
現在の分布：
- 千葉県南部：定着後、2004年の5市町から2020年には17市町へ拡大
- 東京都伊豆大島：人口の2倍にあたる個体数とされ、深刻な状況
- 拡散が懸念される：茨城県でも個体が確認され、「防衛ライン」設置などの対策が進行中

キョンの性格と生態

① 単独者タイプ、縄張り厳守

群れずに単独またはペアで行動し、自分の縄張り内で暮らします
時々“犬そっくり”の警戒声を発することもあるとか。近づくとビックリします

② 繁殖力はめっちゃ強い

メスは生後半年から妊娠可能で、実際に生後1年以内に成熟する個体も
出産サイクルも早く、年中発情→出産可能。その結果、自然増加率は年間30%超えるとの試算も

③ 食性・行動

雑食性で草木の葉、果実を食べるほか、農作物や植栽にも被害をもたらします
畑や花壇にも平気で侵入し、乾燥した芝生やキュウリなどまで食い荒らすとの報告あり
森の植生にも影響：ニホンジカが避ける植物まで食べ、森林の再生を阻害する可能性も

被害状況と人間生活への影響

農作物への影響

被害額は年々増加傾向。水稲・イモ・豆類・果樹・野菜・特用林産物など、多岐にわたります
伊豆大島では葉物や椿の新芽も大被害。農家や住民はネット防御を余儀なくされています

生活環境への影響

洗濯物をかじられる、花壇が荒されるなど、日常生活にも影響が出ています。
さらに“犬の遠吠え”のような鳴き声で、夜に恐怖を感じる人も

生態系への悪影響

ニホンジカとの餌場の奪い合いはもちろん、在来植物の減少、森林構造の変化につながる恐れがあります
他国でも、森林の下層植生が消失する事例が報告されています

防除と利用の取り組み

① 捕獲・駆除の取り組み

環境省が特定外来生物に指定し、千葉県・伊豆大島では自治体主導の防除計画が進められています
千葉では第2次防除計画（2021–2026年）で、年間8,500頭の捕獲目標設定

② 人道的な駆除とジビエ利用

捕獲したキョンは、ジビエ料理店などで肉として有効活用される例も増加中
浅草や人形町のレストランで「キョンジビエ」が味わえるようになっています

③ 侵入防止の工夫

家庭や農地を守るため、“高さ90cm＋目合い5cm以下”のフェンスや電気柵二段張りが効果的
ネットは地際までしっかり固定が肝心とのこと

キョンのトリビア集

「ヨツメジカ」呼ばれるワケ：眼下腺が発達して、目の下に“もう一対目”があるように見えるから
警戒声がリアル“犬の遠吠え”：夜に「キョン！」と鳴かれると結構響いてびっくりする
伊豆大島で倍増レベルの大繁殖：人口7,000人に対し、キョンは1.4万頭以上との推定
茨城県でも出没：元々いなかった地域にも侵入中で、「防衛ライン」設置の議論あり

まとめ

キョンは、日本の自然や暮らしに静かに侵攻してきた小型“忍者シカ”です。

中型犬サイズだけど、角と牙を持つ強者！
繁殖力抜群で、農作物や植生、生態系に深刻な影響あり。
フェンスや駆除などで対抗中、ジビエ利用などの”利活用”も広まっています。

「ちっちゃくても、やることはチンピラ級」というのが、キョンの正体。

…とはいえ、もし近所でキョンを見かけたら、くれぐれもむやみに近づかず、市町村の野生鳥獣対策に連絡するのが正解です！シカに似てるしかわいいけどがっつり害獣なのです･･･
特に餌とかあげたらだめよ･･･

ちなみにキョンの眼下線は結構すごいです。
割とグロいので興味がある方は「キョン　眼下線」で調べてみてね。