【両生類】意外とすごい!ヒキガエルについて

ニホンヒキガエルは地味だけどすごい!?笑って学べる日本代表カエルの真実

目次

はじめに:この“ぺたぺた歩く”王者をご存知ですか?

山道、畑、庭先、公園の片隅。何かがぺた…ぺた…と歩いている。
目を向けるとそこにいるのは――まるっこくて、イボイボで、なんとなく無言の貫禄を放つカエル。

それが今回の主役、ニホンヒキガエル(Bufo japonicus)です。

「ただのカエルでしょ?」「見た目ちょっとコワイし…」と思ったあなた。
でもこの生き物、実は日本の自然における超重要キャラであり、
進化と環境への適応を極めた“静かなるフィールドワーカー”なのです。

基本情報:じわじわくるフォルムの王

項目内容
学名Bufo japonicus
英名Japanese common toad
分類両生類・無尾目・ヒキガエル科
生息地本州・四国・九州(北海道・沖縄には自然分布しない)
体長♂約6~10cm / ♀約10~18cm(地域差あり)
特徴ゴツゴツした皮膚、茶褐色の体色、大きな耳腺
分布環境森林、草地、田畑、住宅地など

もはや「ザ・カエルの定番」みたいな存在。
見た目は無骨、動きはのしのし、でも日本のあちこちで静かに活躍している在来種です。

生態と暮らし:のしのし歩いてぺろっと狩る、夜の猟師

ニホンヒキガエルは夜行性で、夕方以降に活発になります。昼間は日陰や落ち葉の下、石の隙間などでじっと休み、夜になると昆虫やクモ、ミミズなどを求めてのしのし徘徊。
動くものに素早く反応し、舌を「ぺろっ」と伸ばして正確に捕らえます。


ジャンプではなく歩行で移動するため、行動範囲は比較的限定的ですが、その分テリトリー内をしっかりパトロールする職人気質
特に繁殖期(2~4月頃)には大移動を行い、長年使われてきた池や田んぼへ一斉に集まり、産卵・繁殖の大イベントが繰り広げられます。
これに遭遇するとなかなかびっくりですよ。

生存戦略:毒・皮膚・しわが武器

ヒキガエル最大の特徴といえば、頭の後ろにある「耳腺(じせん)」
ここから分泌される
ブフォトキシンという毒は、犬や猫にとっては致命的なこともあり、誤って噛んでしまうと泡を吹いたり中毒症状を起こすことも。
うちの犬は食い殺しちゃいました。
※人間も触ったあとは必ず手洗い推奨!!

また、皮膚のイボのような構造は毒腺を兼ねており、触感はごつごつ。
保湿力と毒性を両立した“機能性スキン”。見た目のハードさは生き延びるための装甲なのです。

さらに、皮膚呼吸と肺呼吸を併用でき、乾燥にも比較的強く、都市部や郊外でも順応。見た目からは想像できない生命力と柔軟性の塊といえます。

オスとメス:あのカエル、鳴いてるのは男子だけ!

オスは繁殖期になると池に集まり、鳴き声でメスを呼びます。
鳴き声は「クックックッ」「ギューギュー」など種類や個体によって微妙に異なり、夜の田んぼに独特のBGMを流します。

繁殖行動では、オスがメスの背にしがみつく「抱接(ほうせつ)」を行いますが、うっかり別のオスに乗ってしまうことも。そのとき乗られた方は「クルルッ」という“メス鳴き”で「俺オスだぞ」と知らせるのがユーモラス。

産卵はひも状の卵を水草や石に絡める形で行い、1匹のメスが数千個もの卵を産むことも。
孵化したオタマジャクシは数週間で上陸して変態を完了し、小さなヒキガエルとなります。

トリビア:地味にスゴいエピソード集

  • 冬眠の達人:秋になると自ら土を掘り、地中深くで完全休眠。真冬でも気配ゼロ。
  • 寿命が長い:野生でも10年以上生きる個体もあり、飼育下では15〜20年生きることも。
  • 帰巣本能あり:繁殖場所は数年同じ池を選ぶ個体が多く、年単位での記憶力を持つ可能性も。
  • 地域で亜種あり:「ナガレヒキガエル(B.j.formosus)」など地域変異も存在。
  • 和風モチーフ多数:「ガマの油」「ガマ仙人」など、日本の伝承・芸能文化でも頻出。

人との関係:益獣?迷惑?でもやっぱり共に生きてる

ニホンヒキガエルは、農地や庭の害虫を食べてくれる存在として重宝されてきました。
一方で、毒のある分泌物や繁殖時の大群行動が敬遠されることも。近年では生息地の減少や用水路のコンクリ化などによって繁殖環境が狭まり、個体数が減っている地域もあります。

しかし、公園や神社の林、民家の隅などにも静かに息づいており、「人と最も近い野生の両生類」とも言える存在です。

まとめ:ニホンヒキガエルは、“静かなる守護者”

  • 地味な見た目に秘めた機能美
  • 毒を持ちつつ、害虫を狩る“半益獣”
  • 孤高に生き、春には一斉に集まる「季節の風物詩」

ニホンヒキガエルは、日本の自然において、誰よりも地味に、誰よりも確かに、生き続けてきた存在です。
夏に川辺なんかを歩いていると何かがボテッ、ボテッと歩いてるのに遭遇するかも。うんこに似てる。

目次